アレルギー科
近年、喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の増加が指摘され、生活習慣病とともに現代病の1つとなっています。
アレルギー疾患は遺伝的要因と環境的要因の両者が発症の原因となることが知られております。
当院では抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬、漢方薬などを用いて治療しております。
花粉症が疑われる自覚症状(以下にお示ししております)がありましたら特異的花粉抗原を調べる採血検査を行うことができますのでご相談ください。
※小児に関しては診療を行っておりません。
※漢方薬は土曜日のみ
花粉が飛散する2週間前からのロイコトリエン拮抗薬(シングレア®)の投与は鼻症状を改善することが示されておりますので、是非お早めにご相談下さい。
スギ花粉症舌下免疫療法 (シダキュア®)
アレルギー性鼻炎に対する治療としては「抗原の回避」、「抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬などの薬物療法」、「鼻粘膜焼灼などの手術療法」が一般的に行われてきました。薬物療法はあくまで対症療法であり、手術療法も再発の可能性があることから、「アレルゲン免疫療法」の有効性が検証されてきました。これまでのアレルゲン免疫療法は皮下投与法が中心に行われてきましたが、重篤な副作用の発現が比較的多く、処置として病院で投与しなければならない煩雑さなどが問題でありました。
近年、アレルゲン免疫療法として舌下免疫療法が開発され、臨床試験が行われてきました。
この治療法は皮下注射と比較して
・自宅で投与が可能である
・重篤なアナフィラキシーショックなどの副作用が少ない
・注射の痛み、腫れがない
という安全性と利便性の点で優れております。具体的にはスギ花粉のアレルゲンエキスを舌下投与し、体質を徐々に変えていく治療法です。
1990年代から欧米では行われ、WHO(世界保健機関)によって有効性が認められております。わが国においても第Ⅲ相試験の結果、舌下免疫療法はプラセボと比較して症状スコア、QOLを改善させ、薬剤の追加回数を減少させました。
その一方で副作用としては腹部症状(嘔吐、腹痛、下痢など)、口腔内・眼・鼻の痒み、蕁麻疹、喘息発作(重篤な喘息をお持ちの方)、アナフィラキシーショックを引き起こすことが稀にありますので、初回投与後30分は当院で経過観察させていただきます。
以下の点はご了承ください。
・スギ花粉症以外のアレルギー性鼻炎に効果が期待できない
・効果発現まで数週間は必要であり、十分な効果がみられるまで2年以上の治療期間が必要である
・効果があって終了した場合も、その後効果が減弱する可能性がある
・β阻害薬使用中、不安定な気管支喘息(%FEV1<70%)、抗癌剤・免疫抑制剤・ステロイドを長期投与中、妊娠・授乳中の方は適応外である
・全ての対象者が根治できるとは限らない
・初回時は必ず当院にて採血(血清中抗原特異的IgE)が必要
ご不明な点はお近くのスタッフにお尋ねください。また、花粉が飛散する前の11月末まで(前年12~翌年4月の治療開始は避けさせていただきます)には治療を開始したいのでお早めにお申し出ください。
※保険診療に基づき、他院のデータをお持ちの際も当院で投与開始する場合は初回の採血(血清総IgE、特異的IgE抗体)を必ず施行させていただきます。
※常備薬がある方は初回受診時に必ずお薬手帳をお持ちください
※初回来院日は治療に関する説明と採血となりますのでご了承ください
(採血のみであれば日曜日でも可能です。)
※治療説明と初回導入は同日に可能ですが、その場合は日曜日以外の診療日に行います。
※65歳以上の方に関しては効果ならびに有害事象(データが乏しく重篤になる可能性があります)が明らかでないことからお断りさせていただいておりますのでご了承ください。
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採血を先に行う場合でありましたら、どの曜日・時間帯でも可能です |
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治療説明日は、日曜日以外の診療日です。同日に治療導入も可能です。 |
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前年12月~翌年4月は導入不可です。例年、5月中旬から11月末まで実施しております。
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オマリズマブ (ゾレア®)
当院でも重症の気管支喘息や慢性蕁麻疹に対する治療薬として使用しておりましたオマリズマブ (ゾレア®) は、2019年12月に季節性アレルギー性鼻炎 (スギ花粉症) に対する適応が追加されました。
すでに気管支喘息に対するゾレア®の作用機序に関して解説しておりますが、季節性アレルギー性鼻炎に対しても同様にIgEの肥満細胞への結合を阻害します。
その結果、アレルギー性鼻炎の症状の原因となる肥満細胞からの化学物質 (ヒスタミン、ロイコトリエンなど) の放出が抑えられます。
以下がゾレア®導入までの流れとなります。
初回来院日(同日に治療説明も併せてご希望の方は日曜日以外) (採血 & 標準治療薬処方 ± 治療説明) |
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治療説明日は、日曜日以外の診療日となりますが、採血と標準治療薬の処方を先に行う場合でありましたら、日曜日でも可能です。 ※この時点で標準治療を行っていない方には内服薬や点鼻薬を処方します |
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毎年スギ花粉の飛散前と飛散時期である1〜5月に投与しております。 |
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治療を検討するにあたり、以下の点にご注意ください。
1. 2週もしくは4週間隔で投与する皮下注射薬です。
2. 12歳以上で、体重が20〜150kgの範囲の方に限られます。
3. 1週間以上の抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬による治療で効果が十分でない方が対象です。
4. スギ花粉抗原に対する特異的IgE抗体価がクラス3以上かつ総IgE値が30〜1500 IU/mlであることが必須となります。
5. 体重と総IgE値によって投与量 (75〜600mg) と投与間隔 (2週もしくは4週間隔) が決められておりますので、実際の負担額には個人差が出てきます。詳しくは専用サイト(ゾレア 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)でお悩みの患者さまとご家族の方へ:ノバルティスファーマ)をご覧ください。
6. 治療期間としては、臨床試験の結果に則り、12週間程度が推奨されます。
7. 治療効果を最大限に感じていただくために、遅くても3月には治療を開始することを勧めております。
8. 抗ヒスタミン薬などの標準治療も引き続き併用します。
当院は呼吸器疾患を中心とした内科クリニックでありますが、スギ花粉症に対する適応追加後の2020年から早くも都内屈指の治療実績がございます。
毎年症状を抑えておきたい方は勿論、大事な仕事や催し物を控えている方、受験生の方にも多くご相談いただいております。
花粉カレンダー
原因になる花粉の飛散時期を知り、早めの対策が大切です。
花粉症の原因になる植物の飛散時期はさまざまです。スギならば、2月上旬頃から4月にかけて開花し、花粉を飛散させます。また、カモガヤやホソムギなどのイネ科植物は主に初夏の頃、ブタクサやヨモギなどのキク科植物は夏の終わりから秋にかけて花粉を飛散させます。こうした花粉症の原因植物の花粉飛散時期を知っておくことは、早めの予防対策を行う上で大いに役立ちます。
スギ |
地域 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
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北海道 |
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関東 |
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九州 |
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ハンノキ属 |
地域 |
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9月 |
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12月 |
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北海道 |
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関東 |
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九州 |
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ヒノキ属 |
地域 |
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8月 |
9月 |
10月 |
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北海道 |
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九州 |
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イネ科 |
地域 |
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8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
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北海道 |
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関東 |
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九州 |
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シラカバ |
地域 |
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7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
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北海道 |
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関東 |
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九州 |
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ブタクサ属 |
地域 |
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7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
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北海道 |
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関東 |
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関西 |
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九州 |
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ヨモギ属 |
地域 |
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6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
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北海道 |
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関東 |
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関西 |
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九州 |
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カナムグラ |
地域 |
1月 |
2月 |
3月 |
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5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
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北海道 |
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関東 |
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関西 |
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九州 |
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ダニアレルギー舌下免疫療法 (ミティキュア®、アシテア®)
日本人の約4人に一人が通年性アレルギー性鼻炎であることが知られております。通年性アレルギー性鼻炎の多くを占める室内塵ダニアレルギー性鼻炎は、室内塵ダニに対するアレルギーが原因となって、くしゃみ、鼻漏、鼻閉、目のそう痒感などの症状が発現する疾患です。原因となる主なダニは家の中の布団や絨毯、畳などに多く生息し、これらのダニのフンや死がいが原因となりアレルギーを引き起こします。
スギ花粉症に対するシダキュア®と同様に、アレルゲン免疫療法として舌下免疫療法が開発されております。「ヤケヒョウダニ」と「コナヒョウダニ」という2種のダニの抽出液を精製した薬であるミティキュア®とアシテア®は臨床試験において通年性アレルギー性鼻炎の鼻症状を有意に改善させました。特に、アシテア®は治療中止後約1年間、効果が持続することが示されております(J. Allergy Clin. Immunol (2014) 133, 1715-25)。
一方で、ミティキュア®は海外の臨床試験にて吸入ステロイドでコントロールが不良なダニアレルギー陽性の気管支喘息患者に対して吸入ステロイド減量期間中の症状増悪リスクを有意に低下させました(JAMA (2016) 315, 1715-25)。ただし、我が国では明確な有用性が示されていないため、現時点では気管支喘息に対する適応はありません。
その一方で副作用としては腹部症状(嘔吐、腹痛、下痢など)、口腔内・眼・鼻・喉の痒み、蕁麻疹、喘息発作(重篤な喘息をお持ちの方)、アナフィラキシーショックを引き起こすことが稀にありますので、初回投与後30分は当院で経過観察させていただきます。
以下の点はご了承ください。
・ダニ以外のアレルギー性鼻炎に効果が期待できない
・十分な効果がみられるまで3~5年の治療期間が必要である
・効果があって終了した場合も、その後効果が減弱する可能性がある
・β阻害薬使用中、不安定な気管支喘息(%FEV1<70%)、抗癌剤・免疫抑制剤・ステロイドを長期投与中、妊娠・授乳中の方は適応外である
・全ての対象者が根治できるとは限らない
・他の舌下免疫療法(シダキュア®など)との併用のリスクは明らかでないため、避けていただく
・初回時は必ず当院にて採血(血清中抗原特異的IgE)が必要
ご不明な点はお近くのスタッフにお尋ねください。通年性アレルギー性鼻炎は、花粉とは関連していないためいずれの時期でも治療を開始することができます。
※保険診療に基づき、他院のデータをお持ちの際も当院で投与開始する場合は初回の採血(血清総IgE、特異的IgE抗体)を必ず施行させていただきます。
※常備薬がある方は初回受診時に必ずお薬手帳をお持ちください
(採血のみであれば日曜日でも可能です。)
※治療説明と初回導入は同日に可能ですが、その場合は日曜日以外の診療日に行います。
※65歳以上の方に関しては効果ならびに有害事象(データが乏しく重篤になる可能性があります)が明らかでないことからお断りさせていただいておりますのでご了承ください。
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採血を先に行う場合でありましたら、どの曜日・時間帯でも可能です。 |
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治療説明日は、日曜日以外の診療日です。同日に治療導入も可能です。 |
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スギ花粉症舌下免疫療法と異なり、時期を問わず治療開始可能です。 |
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